2014年9月6日土曜日

花札の面白さを考える

花札っぽい見た目のカードゲームを作ろうかと思っていていまして、
でも、花札ってちゃんとやっていなかったので、やってみることにしました。

いくつかのゲームが出来るらしいのですが、
最もポピュラーと言われている「こいこい」を調べてみます。

下記の2つのサイトを参考にしました。



ケント紙に、絵柄を印刷をして、ひたすらプレイ。
はじめてやりましたが、かなり面白いかも。何度もやりました。


手作りの、ちっちゃい花札。


一見、ルールが複雑そうに思えるのですが、
やってみると、そんなことありません。とてもとっつきやすいゲームでした。

札を見て見ると、絵のみで記号がなく、なにやら分かりにくい印象を持つと思います。

ですが、これ、トランプと同じように、2つの要素が組み合わさっているだけです。

次の例は、下記のように要素分解が出来ます。


ちなみに、物体は「短冊(文字あり)」であり、背景は「桜」です。

下記は、クローバーの8ですが、
これもクローバーという記号と8という数字の組み合わせで成り立っています。



札の見方を理解した上で、「こいこい」のルールを見ると、とてもシンプル。
普段ゲームをしない人にも、理解できるようです。

「こいこい」のルールは、上記のまとめ記事を見ていただくとして、
ここからは、「こいこい」の面白さについて分析していきます。

プレイしてみると分かるのですが、
色々な箇所に「面白い!」と思える場面がありました。

箇条書きで挙げてみると…

  • 少しずつ、役が集まっていくときが楽しい
  • 最初に、場と手札に良い役ができそうなときにワクワクする
  • 相手が、どの札をとるのか、自分がどの札を取るべきなのかの駆け引きが楽しい
  • 自分が先手で、まとめてたくさん取れると楽しい
  • 役の得点が1点から10点まで、かなりの差があり、逆転できた時、楽しい。
  • 相手の揃えている役を邪魔した時が楽しい。
  • 自分の手札でどの場の札をとれるのか分かったときが楽しい。
  • 相手が「こいこい」したときに、それを阻止した時。などなど。

いくつかの楽しいポイントが見つけられても、それはゲームデザインの結果であり、
どんな要素でこのゲームが構成されているのかが分析できなければ、
アレンジができません。


こんなときにどうするのかというと、コアになっている要素を見つけるということ。
「点数の重み付けがある」とか「たまに運でとれるのが楽しい」とかは、
たぶん、おまけ要素です。

おまけに思える要素はどんどん、剥ぎおとして行きます。

そして、要素をギリギリまで少なくして、
それでも最低限の面白さがあるのかを検証します。

実験した結果「要素を切り替えて見えてくる」面白さが、こいこいの核だと思いました。

要素を切り替えて見えてくる、とは例え下記のように3枚の札があるときに、
どの要素に注目するかで、分けられるものが変わってくる、ということです。




ちゃんと最低限の面白さが保証されているか、自作の札を使って実験しました。

上の集合が、場。下の集合が、手札。
右の集合が、役ごとに並べた札。

アルファベットは、背景を単純化したもの。
数字は、物体を単純化したものです。

同じ数字を3つ揃えたら上がれます。一人用です。

上の場合は、手元に、E2,F3,E3,F1,A2,B2があり、
場には、E1,D3,F2,G1,D1,G3があり、
揃えた役は「3」が2枚で、あと1枚「3」のカードを集めれば良いことになっています。

まず、「3 」がついた手札を探します。その結果、E3,F3が見つかります。
「こいこい」のルールと同じように、場にあるカードを取るには、
同じ背景(ここではアルファベット)のカードが必要です。

E,Fでそれぞれを探すと、結果、E1が見つかります。
これを取れば、「3」のカードが3枚揃い、上がることができます。

このように、1つのカードに2つの要素があるために、
アルファベットと数字のカテゴリーを頭の中で切り替えることが必要です。
狙い通りのカードを見つけられた時、楽しいと感じます。

これを「こいこい」のコア要素とします。

ゲームは核(コア)になるゲーム性と、いつくかの汎用的なゲーム性が積み重なって、
面白さの値を上げていくものだと思います。
今回、検証した花札も同様だと思いました。




なお、汎用的なゲーム性には下記のようなものがあると思います。
「こいこい」にも入っています。
  • 相手との競争
  • 状況による、戦略の変化
  • ハイリスクハイリターン
  • 乱数による成功と失敗
  • 乱数による圧倒的有利
  • 逆転可能な仕組み
特に「こいこい」では、安定して考えられる戦略に加え、
乱数と逆転の要素をうまく取り入れていて、
これにより、何度もプレイしたい!という気にさせてくれます。
(負けても「どうせ運が悪かった、次は…!」と思いやすい)

蛇足になりますが、「ゲーム性」とはないか、というところなのですが、
自分では、下記の3つの要素がきちんと循環しているかを検証し、
そうであれば、「ゲーム性」と呼んでいます。
この循環がうまく回れば、面白さが生まれます。

  • 計画
  • 実行(乱数を含む)
  • 結果

「こいこい」の例で考えると、

「絵合わせ」では、どの絵が揃うのか(計画)、探してみて(実行)、
実際に見つける、もしくは見つけない(結果)。1循環5秒程度。

1ゲーム全体では、
どの役が今回揃いそうなのか(計画)、実際やってみて(実行)、勝ち負けか(結果)
1循環5分程度。

「伏せ札を場に出す」ときは、どの札が出てくれると嬉しいかを思い描く(計画)
ドキドキしながらめくる(実行)、理想のカードかどうか(結果)1循環3秒程度。

など。
以上、花札のお話でした。

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